2010年01月16日

鈴木光司

鈴木光司

鈴木光司(すずきこうじ、1957年5月13日 – )は、日本の作家、エッセイスト。

静岡県浜松市出身。本名、鈴木 晃司。静岡県立浜松北高等学校、慶應義塾大学文学部仏文科卒業。
デビュー作の1990年の『楽園』は、1万年という時を超えた男女の愛を描く壮大なスケールの小説で、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を得た。『リング』は横溝正史ミステリ大賞最終候補まで残り、映像化され、ホラーブームの火付け役となった。その続編である『らせん』は1995年(平成7年)、第17回吉川英治文学新人賞を受賞。『リング』・『らせん』は映画化され大ヒットし、リングシリーズとして『リング2』、『リング0 バースデイ』が製作された。『リング』はのちに米国で『ザ・リング』としてリメイクされて話題となった(リメイクが決定した際、日本では鈴木光司の名前にカッコをつけて「日本のスティーブン・キング」と紹介された)。同じく『仄暗い水の底から』も映画化され、こちらも米国で『ダーク・ウォーター』としてリメイクされている。
2008年12月19日、『リング』シリーズ以来の長編サイエンス・ホラー『エッジ』を刊行。

『リング』シリーズ以降は、短編集やエッセイを出しており、特に『枝の折れた小さな樹』(新潮社)は、『サイレントリー』(新潮文庫)として文庫化されている。福田和也(仏文学科の1年後輩にあたる)など一部の批評家からは酷評されている。 体を鍛えるのが趣味で、主夫として子育てを行い、エッセイは子育てを扱ったものが多い。
アメリカ映画などにみられるマッチョな父性像を「家族を守る、強い父」という男の生き方に接続し、「マッチョを突き詰めれば、必ずフェミニズムにゆきつく」と主張しているが、フェミニズム的傾向が強いとして、心理学者林道義らに批判されている。また、フェミニストなどからは鈴木がマッチョイズムに固執していることへの批判もある。
探検家のアーネスト・シャクルトンを尊敬し、危機的状況に陥りながら一人も仲間を死なせずに生還した彼の偉業を幾度も称えている。朝日新聞紙上では日本の特攻隊と比較して「欧米人に比べ日本人は若者の命を粗末にしている」と結論付けている。
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2009年08月04日

『バースデイ』(☆☆:小説おすすめ度)

『バースデイ』は、鈴木光司によるミステリーホラー小説。3つの短編からなる短編集。小説『リング』シリーズの外伝。

<あらすじ>
「空に浮かぶ棺」
らせんで呪いのビデオを見た高野舞が山村貞子を産み落とすまでの物語。1990年11月、舞はビルの排水溝で目を覚ます。彼女は処女のまま妊娠していた。なぜ妊娠しているのか?お腹にいるものはいったいなんなのか?時間が経過してゆくにつれて、彼女は「なぜ自分がこんな場所にいるのか」という顛末を徐々に思い出してゆく。それはビデオを見た日から、自分が徐々に胎児(=忌まわしいもの)に支配されていく記憶だった。やがて、訪れる出産の時。陣痛の合間に彼女は、忌まわしいものが何者かということ・彼女は自分が忌まわしいものを産み落とそうとしていることを知覚する。自分の死期が近いことも。
「レモンハート」
リングシリーズの序章にあたり、貞子の恋人であった遠山博の視点で『劇団飛翔』時代の山村貞子を描く。1990年11月、47歳の遠山博は、新聞社の記者吉野賢三から貞子との関係について、取材を受ける。24年前の1966年3月、音響効果係であった彼は、新人の貞子と密かに付き合っていた。だが、ある日、貞子が演出家の重森勇作を誘惑するのを目撃してしまう。嫉妬にかられた遠山は、音効室で貞子を問い詰め、彼女の誘いにより暗闇の中、性行為に及ぶ。その時の声を録音したカセットテープが偶然、劇団員の大久保ら4人に聞かれてしまい、その4人が不審な心臓の病気で死亡したことを遠山は吉野の口から知る(この時のことが原因なのか、その直後、貞子は劇団を辞めている)。自分の体に原因不明の失調を訴える遠山は、24年前と変わらない貞子の姿を薄れゆく意識の中、目撃し、彼女の膝で息絶える。
「ハッピー・バースデイ」
ループの後日談で、二見馨の子供を妊娠した杉浦礼子が『ループ界』での馨の顛末を知ることで子供の出産を決意する物語。転移性ヒトガンウイルスの治療法を求めて旅立った馨の消息を知るため、彼の関わった『ループ・プロジェクト』の研究者の一人、天野徹博士に礼子は話を聞く。彼の話によると、馨はその治療法が自分の生体情報に隠されていることを知り、ニューキャップ(ニュートリノ・スキャニング・キャプチャー・システム)にかけられ、死んだというのだ。絶望する礼子。だが、天野の説明によると、彼は元々、仮想現実世界ループの生命体タカヤマリュウジ(高山竜司)であり、『ループ界』で生きていることを知る。彼からループ界を見られる機械を借りた礼子は、馨ことタカヤマがヤマムラサダコ(山村貞子)とリングウイルスによってガン化したループ界を再生させ、同時にサダコを滅ぼすためのウイルスで自らも死にゆく姿を見る。懸命に運命と戦った馨の姿を見て、礼子は子供の出産を決意する。

<感想>
この小説は「リング」「らせん」の番外編の短編と「ループ」の完結編といえる短編から出来ています。そして「ループ」は「リング」「らせん」の種明かし作品です。「ループ」を読んでしまった後では「リング」「らせん」番外編に対してちょっと醒めてしまう恐れがあります。「結局、これって、ああいう世界なんだよなぁ…」って。でも、「リング」「らせん」を読んで「ループ」を読む前に「バースデイ」を読んでしまっては「ループ」の結論が先にわかってしまうので、「ループ」が描く世界の意外性を楽めなくなってしまいます。ちょっと面倒ですが、「リング」「らせん」を読んだら「バースデイ」の最終章以外を読んでそこでストップし、「ループ」を読み、それから「バースデイ」の残りを読む…それも煩わしいので、やはり順番に「リング」「らせん」「ループ」「バースデイ」と読むのがいいのでしょうね。いずれにしても、「リング」「らせん」「ループ」を読んだ人が、「もう少し『リング』ワールドを味わいたいなぁ…」と思った気持ちを満たすオマケのような作品です。

〜『バースデイ』、鈴木光司〜
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2009年08月03日

『ループ』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『ループ』は鈴木光司によるミステリーホラー小説。鈴木の大ベストセラーとなった小説『リング』シリーズの完結編。1998年、角川書店より初版。

<あらすじ>
近未来。二見馨は、地球上の重力異常ポイントに住む者が長寿であることに気づき、科学者の父と共に、その一つであるアメリカのニューメキシコにある長寿村を旅行で訪れる約束をするが、その直後、父は「転移性ヒトガンウィルス」に感染して発病、余命幾ばくもない状態となる。
そんな時、馨は、父の病院で知り合ったシングルマザーの礼子という女性と恋仲になり、やがて彼女は馨の子を身籠もるが、彼女もまたヒトガンウィルスのキャリアだった。 やがて世界中で多発し始めたヒトガンウィルスは変化を遂げ、人間だけでなく、他の動物や植物にまで感染し始めた。 このままでは世界はこのウィルスによって死滅してしまう。
そんなとき、馨は、例の長寿村に行った者がヒトガンウィルスを克服したという情報を聞き、父や礼子、そして生まれてくる我が子を救おうとアメリカへ旅立つ。
その道程で馨は、父がかつて研究者として関わっていた、「数十万個の巨大コンピュータを使って、電子世界に架空の世界をプログラムし、生命の進化と可能性をシミュレーションするプロジェクト『ループ』」の中のプログラム上生命体「タカヤマリュウジ」「アサカワカズユキ」「ヤマムラサダコ」「タカノマイ」「アンドウミツオ」らが、現実世界で猛威を振るっているヒトガンウィルスに深く関わっていたことを知る。
ヒトガンウィルスの真相に迫る馨。そんなとき、彼の前に、「ループ」プロジェクトの最高責任者クリストフ・エリオットが現れ、一連の事件の驚くべき真実を馨に告げる。『進化は偶然に左右されるはずだから、二つと同じものは出来ないはずなのに、ループの世界の進化は、現実世界とあまりにも酷似し過ぎていた』こと、『プログラム「タカヤマ」は仮想世界内で死ぬ直前、自分たちの世界のカラクリに気付き、「そっちへ連れて行ってくれ」と懇願した』こと、そしてこの訴えにエリオットが触発されたこと。

<感想>
この本だけで読んでは面白さが半減します。「リング」「らせん」の後に読んでください。さらにこの作品をホラー小説だと思って読んではいけません。もっと考えさせられるもののある哲学的な内容の小説です。作者はジャンルにこだわらず、続編ごとに小説のスタイルを変えつつも読者に対して一貫したテーマを突きつけてきます。荒唐無稽な話にもかかわらず、リアリティを残す作者の腕前は、見事だといえます。3編通して話が複雑なので、一回読んだだけでは分かりにくいでしょう(理系用語もバンバン出てきます)。何回か読み直す必要があります。「生命とは何か?」「世界とは何か?」「人間とは何か?」永遠に答えの出る事のない哲学的テーマに対して、主人公は葛藤し呻吟し続けます。「世界は生きるに値するのか?」の答えを得るために疾走します。作者はこの命題に対する題材として「リング」「らせん」を使用したのではないでしょうか。実はかなり深い作品だと思います。

〜『ループ』、鈴木光司〜
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2009年08月02日

『らせん』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『らせん』は、鈴木光司によって著述されたホラー小説。1995年の吉川英治文学新人賞を受賞した。

<あらすじ>
東京都監察医の安藤満男は、不注意から我が子を死なせた自責に苛まれる日々を過ごしている男。ある日彼は、変死した友人・高山竜司の解剖を担当する。死因は、心臓近くの冠動脈に発生した肉腫によって、血流が停止したことによる心不全。解剖が終わった時、安藤は高山の縫合した腹部から、体型を整えるために詰めた新聞紙の端片がはみ出しているのに気付く。その紙片には、暗号らしき数列が書かれていた。
その後安藤は、監察医務院にやってきた高山の元助手・高野舞から、高山は死の直前、記者の浅川和行という男と共に「見ると死ぬ呪いのビデオ」の調査を行っていたことを知る。だが、その浅川も後日に妻子を失い、自らも廃人同様になっていた。やがて安藤は、浅川が遺していた一連の事件に関する手記を手に入れ、仲間の医師・宮下と共に調査に乗り出す。
やがて、高山の死体から天然痘ウィルスによく似た未知の伝染性ウィルスが発見され、一連の「呪い」とはこのウィルスが心臓の冠動脈に肉腫を発生させ、1週間で心臓近くの動脈を閉塞させ死に至らしめるというメカニズムが判明するが、その感染ルートは、ビデオを見た者の網膜を通して体内に入り込み感染するという驚くべきものだった。
さらには高野舞が行方不明になり、その後ビル屋上の排気口内で『出産直後のような状態』で変死しているのが発見されるが、肝心の出産した赤ん坊は付近になかった。その後、安藤の前に舞の姉を名乗る女性が現れるが、彼女こそ、舞の子宮を通じてこの世に再生を果たした山村貞子その人であった。
舞は、高山の遺品を整理した際、彼が遺していた例の呪いのビデオを見てしまったが、たまたま見た日が彼女の排卵日であり、感染したウィルスと卵子が結び付き、貞子すら予想もつかなかった偶然の『受精』により復活を果たすことになったのだ。受精した卵子は僅かな期間で臨月に達し、生まれた貞子は短期間で死亡した時と同じ年齢に成長を遂げていた。しかもこの偶然により、ウィルスは当初とは違った、恐ろしい『突然変異』を遂げていた。
貞子は、安藤に【ある条件】で取引きを提案する。そして安藤は、この一連の事件の【本当の黒幕】に気付く。自分を利用し、貞子の後ろで手ぐすねをひいていた、真の黒幕とは。

<感想>
「リング」に対してある種の批判(今時呪いなんてetc.)があったのか、作者が意識的に作風が異なるものを書こうとしたのか、本作は「リング」の非科学的部分を合理的に説明しようとする意図が見えます。冒頭は暗号小説そのものであり、その他の部分も整合性・合理性を重視しています。貞子が登場してから独自の世界が始まり、貞子の増殖話が展開され、最後に貞子ワールドと呼ぶにふさわしい未来の展望が予告され、暗澹とする気持ちにさせられます。そして、本作では「リング」に比べ更に「父性」が強調されています。主人公が貞子のコピー作りに協力するのも、「息子」を復元できるためです(この結果、妻との関係を修復できるという目的もあるのですが)。「父と子の絆」、ここに作者の主張が隠されていると思いました。また、本作は「リング」に比べホラー要素は減退し、遺伝子を操り、一週間で成長し、無限増殖する脅威の生命体の出てくるSFチックな作品へと変貌しています。

〜 『らせん』、鈴木光司〜
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2009年08月01日

『リング』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)


『リング』は鈴木光司によるミステリィホラー小説。

<あらすじ>
「そのビデオを見ると、一週間後に死ぬ」
自分の姪を含む、高校生の友人グループが怪死した事件を調査する雑誌記者・浅川和行は、1週間前に4人が伊豆の貸別荘に泊まっていたことを突き止める。別荘を訪れた浅川は、そこで奇怪な内容が映ったビデオデープを発見するが、そのビデオは「これを見たお前は7日目のこの時間に死ぬ」という、死の宣告で締めくくられた。
浅川は高校時代の同級生で、現在は論理学が専門の大学哲学科講師・高山竜司に相談、高山もビデオを見てこれが単なる悪戯ではないことを悟り、二人は死が訪れる前にその謎を突き止めるため奔走するが、そのさなか、浅川の妻・静と娘の陽子までもがビデオを見てしまい、呪いにかかってしまった。
やがてそのビデオは、千里眼を持っていた「山村志津子」という女性と、志津子の信奉者であり心理学者である伊熊平八郎との間に出来た娘である「山村貞子」の怨念により「念写」されたものであることが判明する。しかし貞子は既に死亡しており、現在は例の伊豆の貸別荘の床下にある古井戸の底に眠っていることを突き止めた。
「山村貞子の遺体を井戸から引き上げて供養すれば呪いは解ける」そう考えた二人は井戸に潜り、貞子の亡骸を探しだした。直後に浅川はビデオを見てから1週間の期限を迎えたが死に至らず、呪いを免れることに成功したかに見えた。
ところが、東京へ戻った高山は、彼がビデオを見てからちょうど1週間目の定刻に謎の死を遂げてしまう。高山に対する貞子の呪いは、まだ解けていなかったのだ。では何故、自分は死ななかったのだろうか。その理由に気づいた浅川は、ビデオを見てしまった陽子を助けるため、車を走らせるのだった。

<感想>
どこまでも限りなく続く、逃れられない恐怖を描いたホラー小説です。四人の少年少女たちの謎の突然死に始まるこの作品で鈴木光司が見せてくれたのは、従来のオーソドックスなホラー小説にありがちな単なる戦慄・不安・緊張感・嫌悪といった感情だけではなく、斬新な概念の恐怖と、彼自身の才能の眩い輝きであったように思います。また本作はホラーですが、その象徴である貞子はほとんど出てきません。呪いのビデオテープを調べていくうちに少しづつ山村貞子という人間が浮かび上がってくる。それだけなのになんでこんなに怖いんでしょう?読者を不安にさせるなにかがあります。貞子の生い立ちや主人公の焦りが物語を引き立ててくれます。文体もかなり読みやすいのですぐ読み終えることができました。ホラー好きでなくとも絶対対楽しめると思います。

〜 『リング』、鈴木光司〜
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