2010年01月06日

乙一

乙一

乙一(おついち、男性、1978年10月21日 – )は、日本の小説家。本名安達 寛高(あだち ひろたか)。福岡県出身。血液型はA型。
ペンネームは、愛用していた関数電卓機(ポケコン)の名前「Z1」に由来する。

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞(集英社)を受賞し、17歳(執筆時は16歳)という若さでデビュー。選考では、栗本薫が強く推したという。以後学業の傍ら、『ザ・スニーカー』などのライトノベル誌に作品を発表。1988年、星新一ショート・ショート・コンテスト小説現代コンテスト入賞。
大学時代は愛知県豊橋市に居住。久留米工業高等専門学校材料工学科から編入学で、豊橋技術科学大学工学部エコロジー工学課程卒業。在学中、SF研究会所属。卒業後は1年程で東京に転居。
2002年に出版された『GOTH リストカット事件』で、第3回本格ミステリ大賞を受賞し、ライトノベルから抜け出した人気を誇った。
2004年には『手を握る泥棒の物語』がTEPCOひかり(東京電力)の光ファイバーインターネットサービスのコンテンツとして映画化されたほか、2005年春に『ZOO』収録作のうちの5作品が映画化され全国の劇場で公開され、2006年秋には『暗いところで待ち合わせ』が、2007年夏には『きみにしか聞こえない』が劇場公開された。
大学時代から本名の安達寛高名義で自主映画の制作を行なっており、2004年には『ゴーストは小説家が好き』で第5回宝塚映画祭・映像コンクールに上位入選している。
2006年に、映画監督の押井守の娘であり映画ライターの押井友絵と結婚した。

作品は残酷さや凄惨さを基調としたものと、切なさや繊細さを基調としたものの、2つの傾向が存在している。前者の例としては集英社から刊行された作品の多くや『GOTH リストカット事件』が、後者の例としては角川スニーカー文庫で刊行された作品の多く(『きみにしか聞こえない』、『さみしさの周波数』、『失踪HOLIDAY』)や『暗いところで待ち合わせ』が挙げられる。しかし最近はどちらかに偏る作品がなくなってきている。また作品とは対照的なユーモアのあるあとがきも特徴。

乙一は学生時代には『スレイヤーズ』などのライトノベルを愛読していたが、後に「内容の薄さを綺麗な挿絵で誤魔化している作品が多すぎる」と感じるようになり、ライトノベルから遠ざかったという。作家としてのデビューはライトノベル作家としてであったが、「ライトノベルの存在さえ知らない人や、読書家でもライトノベルには手を出さない人が多くいることも事実である」として、『失踪HOLIDAY』『きみにしか聞こえない CALLING YOU』『さみしさの周波数』(いずれもライトノベルのレーベルである角川スニーカー文庫)の収録作から5作品を選び、新たに書き下ろし作品を加えてハードカバー化されたのが『失はれる物語』(角川書店)である。だが決してライトノベルを嫌いになったわけではなく、今でもライトノベルに対する愛着心は有り、ライトノベルのおかれている現状を憂いている。ちなみに本人は、自身の小説と比較してライトノベルが劣っているという評価を好ましく思っていない。
インタビューにおいて、特に影響を受けたライトノベル作品として麻生俊平の『ザンヤルマの剣士』シリーズを挙げている。外面的な派手さではなく、登場人物の内面を追求していくという作風は、両者に相通ずるものがある。
posted by 推理小説家 at 18:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 乙一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月17日

『失踪HOLIDAY』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『失踪HOLIDAY』(しっそうホリデイ)は、乙一のライトノベルである。短編2作を収録し、角川スニーカー文庫から刊行されている。

<あらすじ>
物語の主人公菅原ナオは幼いころ母と二人きりの家庭で育った。その後母は菅原國光と結婚するも、二年後に母が亡くなる。ナオは血のつながりがない菅原家を追い出されるのではないかと不安に思ったが、そのようなことはなかった。14歳の4月、父國光はキョウコと再婚したが、ナオとキョウコは衝突することが多かった。
14歳の冬休み、ナオはキョウコとの些細なけんかがきっかけとなり家出をし、家の離れに住む使用人楠木クニコの部屋に住み込みはじめる。
ナオは一度は家に戻ろうかとも思ったが家族達が幸せそうにしているのを見て、疎外感を抱き思いとどまる。不愉快なナオは悪戯心から狂言誘拐を考える。脅迫状を家に届けさせ満足するナオだが警察が動き始め、自分を嫌っていると思っていたキョウコまで落ち込んでいる様子を見て後悔を覚える。

<感想>
サクッとつまむ感覚で軽く楽しめる作品です。快活な女の子が主人公で、気ままに振る舞う一方、彼女なりの悩みを抱えるなど、「女の子らしい」一面を見せたり、でもやっぱりワガママを言ってみたり、もちろん会ったことなんてないのに、彼女がそこにいるようなリアリティがあります。少し長いですが短編としてはかなりの完成度で、時折微笑をこぼしながら一気に読めます。

〜『失踪HOLIDAY』、乙一〜
posted by 推理小説家 at 20:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 乙一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月16日

『夏と花火と私の死体』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『夏と花火と私の死体』(なつとはなびとわたしのしたい)は、乙一のホラー小説。本作は、乙一のデビュー作。執筆当時、作者は久留米工業高等専門学校に在籍し、16歳であった。第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞(集英社)を受賞。文庫本の小説には『優子』も収録されている。

<あらすじ>
九歳の夏休み「わたし」は友達である弥生ちゃんにあっけなく殺される。弥生ちゃんは自分が殺したことを隠し、兄の健くんに相談する。そこで健くんは「わたし」を隠してその時頻発していた誘拐事件に偽装することを提案する。大人たちの追及から逃れながら死体を隠そうとする幼い兄妹を、死体の「わたし」の視点で書いたホラー小説。

<感想>
題名通り主人公が死体になってしまうにも関わらず、初めから終わりまで一貫して主人公の目で物語が進行していきます。なのでこの話の画期的なところは物語の語り手が死体だというところです。主人公の五月ちゃんを殺してしまった弥生ちゃん、そしてその兄の健くんの二人が必死に死体を隠そうとするわけですが、度々ピンチが訪れます。そこの切り抜け方に多少無理やり感も残りますが、スリル満天で飽きることなく読みきれます。殺人者にグロさは全くなく、かわいいと思えるほどです。
されどやはりミステリー。最後はゾクッとさせてくれました。 結末もどんでん返しで、これを十代で書き上げたなんて本当に頭が下がります。

〜『夏と花火と私の死体』、乙一〜
posted by 推理小説家 at 18:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 乙一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
相互リンク募集中です。こちらのトップページhttp://mainichigashiawase.seesaa.net/へリンクを張った後にコメント(リンクが張られていることが確認できるURLを記載して下さい)を頂ければ、直ちに相互リンクさせて頂きます。