2010年01月17日

松本清張

松本清張

松本清張(まつもとせいちょう、1909年12月21日[1] - 1992年8月4日)は、日本の小説家。“せいちょう”はペンネームで、本名は、“きよはる”と読む。

一般的には福岡県企救郡板櫃村(現在の北九州市小倉北区)出身とされるが、広島県広島市で生まれ、幼児期から児童期は山口県下関市で育ち、小倉に定住したのは小学校5年生、10歳、11歳から[2][3][4]。姉が2人いたが夭折し、その後1人っ子として育つ。実父が定職を持たず生家が貧しかったために、高等小学校卒業後、川北電気で給仕の職に、その後、高崎印刷所で石版画工になる。文学雑誌を耽読していたが、友人が読んでいた『戦旗』などの文芸雑誌を読んでいたため思想犯の嫌疑で検挙されたことがある。1939年朝日新聞広告部に意匠係として勤める。1950年、勤務中に書いた処女作「西郷札」が『週刊朝日』の「百万人の小説」に入選し、1953年に「或る『小倉日記』伝」が第28回芥川賞を受賞。以後作家活動に専念する。
1958年に発表した推理小説『点と線』『眼の壁』の2長編はベストセラーとなる。犯罪の動機を重視した「社会派推理小説」とよばれる作品は「清張ブーム」を引き起こし、推理小説を大衆に開放することに成功した。
このほか『かげろう絵図』などの歴史物を手がけていたが、『古代史擬』などで古代史に興味を示し『火の路』『眩人』に結実。また、『昭和史発掘』『日本の黒い霧』などのノンフィクションで現実世界にも目を向け、多芸多才な作家活動を行なった。他の作品に『砂の器』や『Dの複合』、自身が代表作という『ゼロの焦点』など。

小説研究16講を座右の書としていたが、もともと作家志望ではなく生活のために執筆、1950年、「西郷札」が『週刊朝日』の「百万人の小説」の三等に入選。この作品は第25回直木賞候補となり、上京。全国観光ポスター公募でも、「天草へ」が推選賞を取った。1952年、木々高太郎の勧めで『三田文学』に「記憶」「或る『小倉日記』伝」を発表。「或る『小倉日記』伝」は直木賞候補となったが、のちに芥川賞選考委員会に回され、選考委員の1人であった坂口安吾から激賞され第28回芥川賞を受賞。『オール讀物』に投稿した「啾啾吟」が第1回オール新人杯佳作。一方、日本宣伝美術界会九州地区委員となり、自宅を小倉事務所とした。また意匠係の主任になり、1956年5月31日退社。9月に日本文芸家協会会員。1953年上京。練馬区に住む。1955年から「張込み」「顔」で推理小説を書き始め、1957年『顔』が第10回日本探偵作家クラブ賞を受賞し、同年から雑誌『旅』に「点と線」を連載。翌年刊行され、『眼の壁』とともに「社会派推理小説」と呼ばれ、ベストセラーとなった。「清張以前」「清張以後」という言葉も出て、「清張ブーム」が起こった。その後も執筆量は衰えず、『かげろう絵図』『黒い画集』『歪んだ複写』などを上梓。執筆量の限界に挑んだが、書痙となり、以後口述筆記をさせ、それに加筆するという形になった。
一方、『小説帝銀事件』で扱った現実世界は、『日本の黒い霧』にまとめられ、「黒い霧」は流行語になった。『わるいやつら』『砂の器』『けものみち』『天保図録』を発表後、1964年から「昭和史発掘」の連載を『週刊文春』に開始。『古代史疑』で古代史にも目を向ける一方、『Dの複合』『砂漠の砂』など旺盛な活動を続け、1967年、第1回吉川英治文学賞を受賞。また、1970年、『昭和史発掘』などの創作活動で第18回菊池寛賞を受賞。
「自分は作家としてのスタートが遅かったので、残された時間の全てを作家活動に注ぎたい」と語り、広汎なテーマについて質の高い作品を多作した。このように多作の作家の中でコンスタントに質の高い作品を出し続けた例は極めて稀で、このため複数の助手作家を使った工房形式で作品を作っているのではないか、と平林たい子は韓国の雑誌『思想界』で指摘した。これに対し松本は、『日本読書新聞』において反論している。
1963年中央公論社が文学全集を刊行するための編集委員選考で、ミステリー作家ということで三島由紀夫から強行に委員参加を拒まれた。
社会派作家として政治や社会問題にも関心を持ち、日本共産党の支持者だった松本は、1974年12月に創価学会と日本共産党の間で、10年間、互いの存在を認め相互に干渉しないことを約束する創共協定(共創協定ともいう)を結ぶための仲介をした(協定の公表は約7ヶ月後の翌1975年7月。協定は公表とほぼ同時に死文化)。また、全国革新懇代表世話人も務めた。
ある種の苦労人に見られるように、時に傲岸不遜な態度で他者に当たる事もあった。自作がテレビドラマ化された際、自身が俳優として出演することもあった。長谷川町子の漫画『いじわるばあさん』でネタにされて、作中において主人公に執筆活動を妨害される事があった(ただし、いじわるばあさんの標的は婦人参政権不要論を唱えた石川達三であり、松本は間違えられてとばっちりを受けた立場)。
邪馬台国論争では九州説を唱える。
1992年4月20日、脳出血のため東京女子医科大学病院に入院。手術は成功したが、7月に病状が悪化、肝臓がんであることが判明し、8月4日に死去した。『甲州霊嶽党』が絶筆。法名は清閑院釋文張。
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2009年09月23日

『夜光の階段』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『夜光の階段』(やこうのかいだん)は、松本清張の長編小説。『週刊新潮』1969年5月10日号から1970年9月26日号に連載され、1981年12月に新潮社から刊行された。連載時のタイトルは『ガラスの鍵』。

<あらすじ>
才能はあるが出世のチャンスが無かった一介の美容師・佐山が、様々な女を利用して、まるで階段を上るかのごとく栄光を掴もうとする。

<感想>
「黒革の手帖」の男性版として、美容師としてのし上がって行く男性の破滅までを描いており、話としては非常に面白く読むことが出来ました。但し、小説としてはどうでしょうか。清張としてはいまいちな作品でした。全体を通して非常に強引さが目立ちます。一番気になるのは、桑山検事の執念です。何故そこまで主人公の佐山に執着し、担当でもない事件に首を突っ込むのか、そこに論理性がありません。警察が自殺と断定した事件を殺人ではないかと疑い、関係がなさそうな佐山の行動を調べるため事務官を九州にまで行かせます。次の殺人事件が起きても、やはり「検察一体化の原則」に反した動きをし、私的な調査を続けます。最後には、「おとり捜査」紛いのことをし、雑誌を使って告発をし、検事の職を辞することになります。ここまで佐山に拘る理由が、全く理解出来ません。むしろ、桑山検事と言う「探偵」紛いの人物を登場させなかった方が良かったのではと思います。それとも、警察の捜査や検察の在り方に疑問を呈するために、この作品を書いたのでしょうか。それならそれで、もっと書き方があったような気がするのですが。

〜『夜光の階段』、松本清張〜
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2009年09月21日

『点と線』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『点と線』(てんとせん)は、松本清張による長編小説。清張の最初の長編推理小説であり、一般に清張の代表作とみなされている。『旅』1957年2月号から1958年1月号に連載され、同年に光文社から刊行された。福岡市香椎の海岸で発見された男女の情死体に疑問を持った2人の刑事の事件捜査を活写する作品である。F・W・クロフツによって確立された「アリバイ崩し」のスタイルを継承している。また、この作品はいわゆる社会派推理小説の発火点とされ、清張ブームを巻き起こした。

<あらすじ>
料亭「小雪」の女中2人と、東京駅の13番線プラットフォームで見送られていた機械工具商会を経営する安田辰郎。この3人は、向かいの15番線プラットフォームに、同じく「小雪」で働くお時が男性と夜行特急列車「あさかぜ」に乗り込むところを見つける。だが数日後、お時とその男・佐山は、香椎の海岸で情死体となって発見された。
一見ありふれた情死に見えたが、博多のベテラン刑事・鳥飼重太郎は、佐山が持っていた車内食堂の伝票から事件の裏の真相を探るため、一人、捜査をすることにする。
一方、佐山は現在社会をにぎわしている××省の汚職事件の関係者であった。この事件を追っていた本庁の刑事・三原紀一は、心中事件を追って九州へ向かい、鳥飼と出会う。
捜査の結果、二人は、東京駅で13番線プラットフォームから15番線プラットフォームが見えるのは、1日の中でわずか4分間しかないことを突き止め、安田を容疑者として追及しようとする。だが、安田には完璧なアリバイがあった。

<感想>
この作品が発表されたのは1958年ですが、未だ読者の支持を受け増刷を重ねる清張の代表作です。交通通信手段に汽車や電報が使われるあたりはさすがに時代を感じさせますが、アリバイを盾とする犯人の牙城を崩すという推理小説独特の展開を体系的に整え、大衆文学に社会派推理小説のジャンルを築いた清張の功績は、これを差し引いても余りあるのではないでしょうか。鋭い感性を持つ老練刑事と行動的に実地検証する若手刑事を配する対照的な人物造形も物語りに彩りを添えています。時代を超えて読み次がれる作品には、やはりそれなりの理由があると思いました。

〜『点と線』、松本清張〜
posted by 推理小説家 at 14:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 松本清張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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