2010年01月22日

綿矢りさ

綿矢りさ

綿矢りさ(わたやりさ)本名:山田梨沙(やまだりさ)は、日本の小説家。

高校在学中「インストール」で文藝賞を当時最年少の17歳で受賞しデビュー。大学在学中の2004年、「蹴りたい背中」により19歳で芥川賞受賞(金原ひとみと同時受賞)、同賞の最年少受賞記録を大幅に更新し話題となる。2006年に長編第3作『夢を与える』を発表。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後は専業作家として活動している。

幼少期からの読書好きで、小学生のころは江戸川乱歩や那須正幹の『ズッコケ三人組』シリーズ、『不思議の国のアリス』、カニグズバーグ、『クマのプーさん』、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』などを愛読。中学生の頃からマーガレット・ミッチェル『風とともに去りぬ』や田辺聖子『言い寄る』を繰り返し読む。中学では演劇部に所属。
京都市立紫野高等学校在学中の2001年、「インストール」で第38回文藝賞受賞。当時17歳であり、第18回(1981年)の堀田あけみ(『アイコ十六歳』)以来20年ぶりの最年少タイ記録として話題となった(その後2005年に当時15歳の三並夏が記録更新)。同作品で第15回三島由紀夫賞候補。選考委員の福田和也、島田雅彦より高い評価を受ける。また同作品の単行本は、3年後の芥川賞受賞や映画化の効果も相まって、2008年までに70万部が発行されるベストセラーとなった。
2002年、高校を卒業し、早稲田大学教育学部国語国文学科に自己推薦入試で入学(在学中は千葉俊二ゼミに所属)。大学在学中の2004年、「蹴りたい背中」で第130回芥川賞受賞(当時19歳)。金原ひとみ(当時20歳)「蛇にピアス」と同時受賞であり、それまでの最年少記録(第56回(1966年)・丸山健二の23歳0ヶ月)を大幅に更新。芥川賞受賞作と選評が掲載された月刊『文藝春秋』2004年3月号は、雑誌としては異例の初回刷80万部、最終的には118万5000部を記録し、それまで最高だった1990年12月号「昭和天皇独白録」収録号の105万部を抜き、最多発行部数を更新した。単行本は芥川賞受賞作としては1976年受賞の村上龍『限りなく透明に近いブルー』(131万部)以来、28年ぶりのミリオンセラーとなった。2004年末までの発行部数は127万部。
2006年、『蹴りたい背中』で2005年度早稲田大学小野梓記念賞<芸術賞>を受賞。大学を卒業、年末に『蹴りたい背中』以来3年半ぶりの長編となる『夢を与える』を発表。2008年、第26回京都府文化賞奨励賞を受賞。
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2009年08月15日

『蹴りたい背中』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『蹴りたい背中』(けりたいせなか)は綿矢りさの小説である。2003年に河出書房新社から発売され、金原ひとみの『蛇にピアス』と共に第130回芥川龍之介賞を受賞した。累計の売り上げは127万部。著者が若いこともあり、高校生活の描写は精緻で、高い評価を得ている。人付き合いを厭う主人公が恋愛感情とも言えない、微妙な感情を抱くようになる過程を、高校での日々の生活を通して描く。「蹴りたい背中」は一般に「愛着と苛立ちが入り交じって蹴りたくなる彼(にな川)の背中」を指すものと推測されている。

<あらすじ>
理科の授業で仲間外れにされたハツは、同じ班のにな川が読んでいる女性ファッション誌のモデル(オリチャン)に目がとまる。ハツは中学生のとき、隣町の無印良品でオリチャンに会ったことがあり、そのことを言うとにな川は興味を持つ。放課後彼の家に呼ばれ、そこでにな川がオリチャンの大ファンであると知る。後日ハツはにな川に頼まれ、オリチャンと会った無印良品店に向かう。そしてにな川の家で休憩する二人だったが、ハツはオリチャンのアイコラ(にな川作)を見つける。ハツは異様な気分になり、にな川を後ろから思い切り蹴り倒す。
その後、にな川が学校を4日間休む。不登校ではないかと言われるも、ハツはにな川の家にお見舞いに行く。実はにな川は徹夜でオリチャンのライブのチケットを取ったため、風邪を引いたのだった。にな川はチケットを4枚買っており、ハツは誰か呼んで一緒に行こうと誘われる。友人は絹代しかいないので、仕方なく絹代を誘って3人でライブに行く。絹代がハツに「にな川はいい彼氏なんじゃないか」「ハツはにな川のことが本当に好きなんだね」と言うが、ハツは「自分の気持ちはそうじゃない」と思っていた。
ライブから帰ると、バスはもう出ていなかった。仕方なくハツと絹代はにな川の家に泊まる。ハツはよく眠れず、ベランダでにな川と話をする。にな川が「オリチャンを一番遠くに感じた」と言ってハツの方を背にして寝転がると、ハツはにな川の背中を蹴ろうとする。指が当たったところでにな川が気づくが、ハツは知らないふりをする。

<感想>
クラスで孤立している人がどのような形で(意識面、行動面とも)凌いでいるかは人それぞれです。本作の主人公「ハツ」が選んだ(選ばざるを得なかった)その形について、いい悪い、好き嫌いなどを云々せず、ただひたすら彼女の心情に寄り添うことに徹して読んでみれば、たいそう胸の痛くなる小説でした。そんな学校生活の中で、ハツが興味をもった一人の男子「にな川」。彼もまた孤立しているのですが、熱狂的ファンである「オリチャン」が心を占有しているため、孤立の事実にすら無頓着に見える。そんなにな川に対し、ハツが抱いた名づけがたい感情を、一見子どもじみた、しかしどのようにも受け取れるふくらみをもつ「蹴りたい」という衝動で表現した手際。実際に蹴るシーンの熱っぽくて濃い独特の空気は、なかなかのものです。目に見えて何が変わるでもないラストは、好みが分かれたことでしょう。ハツのクラスでの状況がよくなる見通しは全くなく、にな川も同様。二人の間柄も「蹴る―蹴られる」関係のままです。彼らのそれからが気がかりで、しばらく尾を引きました。どんな風にであれ、登場人物が長く読者の心に居座り続けるというのも、魅力的な小説の要件のひとつではないでしょうか。

〜『蹴りたい背中』、綿矢りさ〜
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2009年08月14日

『インストール』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『インストール』は綿矢りさの小説。2001年、河出書房新社より刊行され、発行部数50万部のベストセラーになる。第38回文芸賞を受賞した。

<あらすじ>
学校生活から脱落し、登校拒否児となった朝子。彼女はある日ゴミ捨て場でメカに強い小学生の青木君と出会う。青木君はゴミの中から壊れたパソコンを選び、家に持ち帰りOSを再インストールしてパソコンを使えるようにして、チャット風俗で 26歳の人妻・雅(ミヤビ)さんの代わりに一儲けをしないかと朝子にもちかける。最初はキーボードも打てない朝子だったが、青木家の人々が出かけている間、朝子は押入れの中でいくつものトラブルを乗り越え風俗チャットにはまっていった。半年ほどして、朝子はチャット相手の男に雅ではないことを見破られ、コンピュータウイルスを仕掛けられたことで、またパソコンが使えなくなってしまう。正体を見破られたことはショックであったが、それを機に朝子は現実を見つめなおし始めた。また、青木家の冷蔵庫からコーラだけが大量に無くなっていることを不審に思った青木君の母親にも、朝子が毎日青木家に来ていることを知られてしまい、そこで2人の金儲けは終わりを告げた。青木君は雅からの謝礼の30万円を山分けしようとするものの、朝子は、もう一度学校の普通の生活に戻ろうという気にさせてくれた青木君に、朝子自身のインストール代として30万円全てを渡した。

<感想>
「私、みんなと同じ。こんな生活続けていていいのかなぁ」大人はこれを贅沢な悩みというのかも知れません。食べるものに困らず、戦争による恐怖にも、労働の苦しさも、不倫による苦悩も、あるわけではない。しかし、苦悩の捕らえ方は人それぞれです。ある人にとってそれはすべてを投げ出すほどの絶望となることもあります。『インストール』の文体は非常にポップでピュアです。ただ、若い世代のそうした「限りなく軽くポップな絶望」はこの文体だからこそ表現できたものなのでしょう。絶望からの回復過程も場当たり的で軽い。しかし、現代という「軽い」時代の雰囲気をうまく捉えている、とも言えます。軽く読める。作品の長さも短い。ネットチャットという舞台設定も、今から見ると安易です。でも何か引っかかるものがある。きっとそれがこの作品の魅力なのでしょう。この小説は文学作品というより、叙述として読んだ方が面白いかもしれません。文章も難しくないので、ライトノベル感覚で読むと難しくないと思います。

〜『インストール』、綿矢りさ〜
posted by 推理小説家 at 20:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 綿矢りさ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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