2010年01月04日

井伏鱒二

井伏鱒二

井伏鱒二(いぶせますじ、1898年(明治31年)2月15日 - 1993年(平成5年)7月10日)は、日本の小説家。広島県安那郡加茂村(現在の福山市加茂町)の生まれ。本名、井伏 満壽二(いぶし ますじ)。筆名は釣り好きだったことによる。学歴は広島県立福山中学校を経て早稲田大学文学部仏文科中退。広島県名誉県民、福山市名誉市民、東京都名誉都民。

1898年(明治31年)2月15日に、広島県安那郡加茂村粟根に、父郁太、母ミヤの次男として誕生。井伏家は嘉吉2年(1442年)まで遡れる旧家で、家号を「中ノ士居」という代々の地主である。5歳のときに父を亡くし、特に祖父にかわいがられて育つ。1905年(明治38年)、加茂小学校入学。1912年(明治45年)、福山中学校に進学。学校の庭には池があって、二匹の山椒魚が飼われており、のちの処女作「山椒魚」に結びついた。中学校3年生ころから画家を志し、卒業すると3ヶ月間奈良、京都を写生旅行。そのスケッチを持って橋本関雪に入門を申し込んだが、断られ帰郷。
その後、前々からの兄の勧めで文学に転向し、早稲田大学に入学。青木南八と親交を結び、ともに文学部仏文学科に進む。このころ、岩野泡鳴や谷崎精二を訪ねている。1921年(大正10年)、片上伸教授からのホモセクハラ行為に恐れをなして休学。約半年後に復学手続をとるも、片上からの反対で退学となった。またこの年、無二の親友であった青木を失い、日本美術学校も中退している。
1923年(大正12年)、同人誌『世紀』に参加し、「幽閉」を発表。1924年(大正13年)、聚芳社に入社、退社をくりかえしたのち、佐藤春夫に師事。1927年(昭和2年)、「歪なる図案」を『不同調』に発表、初めて小説で原稿料を得た。10月、秋元節代と結婚。1929年(昭和4年)、「朽助のいる谷間」を『創作月間』に、「幽閉」を改作した「山椒魚」を『文芸都市』に、「屋根の上のサワン」を『文学』に発表。翌年、初の作品集『夜ふけと梅の花』を刊行、小林秀雄などが出していた雑誌『作品』の同人となる。また、初めて太宰治と会ったのもこの年であった。1938年(昭和13年)、『ジョン萬次郎漂流記』で第6回直木賞受賞、『文学界』の同人となる。戦時中は陸軍に徴用され、開戦時には南シナ海上の輸送船の中にいた。日本軍が占領したシンガポールに駐在し、現地で日本語新聞の編集に携わった。この経験が、その後の作品に大きな影響を与えている。
直木賞選考委員を1943年(第17回)から1957年(第38回)まで、芥川賞選考委員を1958年(第39回)から1962年(第47回)まで、新潮同人雑誌賞選考委員を1955年(第1回)から1968年(第14回)まで務めた。
1965年(昭和40年)、『新潮』に、「黒い雨」(連載当初は「姪の結婚」)を連載。この作品で1966年(昭和41年)、野間文芸賞を受賞。同年に文化勲章も受章した。1970年(昭和45年)、「私の履歴書(半生記)」を日本経済新聞に連載した。1990年(平成2年)、東京都名誉都民。
1993年(平成5年)6月24日、東京衛生病院に緊急入院し、7月10日午前11時40分に死去、95歳没。戒名は、照観院文寿日彗大居士。
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2009年08月10日

『山椒魚(さんしょううお)』(☆☆☆:小説おすすめ度)

「山椒魚」(さんしょううお)は、井伏鱒二の短編小説。原題は1923年に発表した「幽閉」。改作し1929年「文芸都市」に発表。岩屋から出られなくなってしまった山椒魚を描く。滑稽さの中にある悲哀が光る処女作。1985年、自選全集に収録する際、作者が終結部を削除し話題を呼んだ。

<あらすじ>
うっかりして棲家の岩屋から出られなくなった山椒魚は、穴の外の景色を眺めて暇をつぶすが、自由を奪われたと知り悲歎にくれる。あるとき岩屋に迷い込んだ蛙を見て閉じ込めて、言い争いになるが、もはや岩屋から出るのはあきらめるしかなかった。

<感想>
『山椒魚』の描写のうまさに驚かされます。山椒魚を取り巻く環境、山椒魚の心理、このあたりの描写は非常に面白いです。『山椒魚』は、若き太宰治をして「埋もれたる天才」と評せしめた作品。 喜怒哀楽という感情の波が丁寧に織り込まれています。ストーリー自体はとても単純なものです。ただ、山椒魚の置かれている状況とそれに伴う心情の変化を井伏独特の言葉で紡ぎ出し、全体を美しく描いています。読めば読むほど味が出る作品です。

〜『山椒魚(さんしょううお)』、井伏鱒二〜
posted by 推理小説家 at 10:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 井伏鱒二 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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