2012年11月02日

『TRIP TRAP』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『TRIP TRAP』は金原ひとみの短編集。

<あらすじ>
同じ事を延々繰り返していく主婦の日々。毎日毎日粛々と、仲間も同僚もいな中ただひとりで皿洗いや掃除肩付け買い物や食事作りなどの、何度終わらせても永遠に同じ事を繰り返さなければならない単純作業。自宅で仕事を続けながら、子育てと家事に追われ鬱屈した日常を送るマユは、ある時、保育園に子供を預けた後、鎌倉へ小旅行に旅立った。水着を買い、江ノ島のビーチで寝そべるマユに、モデル風の男が声をかけてきた。主婦としての日常から、一時解放される不思議な感覚。子供を迎える時間が迫る中、日常と非日常の狭間に立たされたマユは……。(「夏旅」より)
女友達とぶらりと向かった伊豆、恋人と行くハワイ、結婚して訪れたパリ、子育ての中逃げるように辿り着いた湘南――。旅の中に見つかる男女の交情。

<感想>
この作品の魅力は小説のナラティブ(語り)の力です。私小説は、小説の構造よりもナラテイブに拠るところが大きいのかもしれません。私小説には短編が似合う、長編でいいものは少ないと、西村賢太氏が島田雅彦氏との対談で言っていますが、長編だと単一な「語り」が息切れしてしまうのかな。私小説にポリフォニーなんて似合いませんものね。小説の構造に凝ることで、かえってナラティブの力が弱まってしまうなら、成る程、私小説に長編は向きません。もちろん、こんな考えを覆すような長編が、将来生まれてくるかもしれませんが。妙にさばさばしていてリアルな心情の描写の半面、心地よい距離感を感じる作品でした。

〜『TRIP TRAP』、金原ひとみ〜
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2010年01月16日

金原ひとみ

金原ひとみ

金原ひとみ(かねはらひとみ、1983年8月8日 - )は、日本の小説家。

東京都出身。
父は児童文学研究家・翻訳家の金原瑞人。
文化学院高等課程中退。小学校4年生のとき不登校になり、中学、高校にはほとんど通っていない。
小説を書き始めたのは12歳の時。中学3年生の時、父が法政大学で開いていたゼミに、「めいっ子の高校生」として参加。20歳の時、周囲に勧めを受けてすばる文学賞に応募した。
2003年、「蛇にピアス」で第27回すばる文学賞を受賞。
2004年、同作で第130回芥川賞を綿矢りさと共に受賞。
2007年、アニメ映画「カフカ 田舎医者」で映画初出演。
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2009年08月15日

『蛇にピアス』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『蛇にピアス』(へびにピアス)は、金原ひとみの小説作品、第27回すばる文学賞を受賞したデビュー作。綿矢りさの『蹴りたい背中』とともに、第130回芥川龍之介賞を受賞した。

<あらすじ>
「スプリットタンって知ってる?」そう言って、男は蛇のように二つに割れた舌を出した。その男アマと同棲しながらサディストの彫り師シバとも関係をもつルイ。ルイはアマのスプリット・タンに惹かれ、シバさんの指導の下、自分の舌にもピアスを入れ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていく。さらにシバさんに、背中に麒麟と龍の刺青を入れてもらう約束も取り付ける。しかし、アマと喧嘩した暴力団風の男の死亡記事を見てから、ルイに不安が襲い始める。

<感想>
過激な描写が多ければ多いほど読むスピードが速くなるのは人の常で、この小説もあっという間に読み終えます。純文学愛好家にはそっぽを向かれる作品になってしまいましたが、漫画が好きな人にはおすすめできます。圧倒的な視覚イメージで迫ってくる作品なので途中で飽きるってことはないでしょう。この作品を読んでおもしろいと感じれるなら彼女の他の作品も楽しめると思います。

〜『蛇にピアス』、金原ひとみ〜
posted by 推理小説家 at 19:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 金原ひとみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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