2010年01月06日

小川洋子

小川洋子

小川洋子(おがわようこ、1962年3月30日 - )は、日本の小説家。

岡山県岡山市出身。旧姓は本郷。祖父は金光教の教師であり、両親とも金光教の信者という家庭で育つ。生家も教会の敷地内にあった。三勲小学校、岡山県立岡山朝日高等学校を経て、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。少女時代に世界児童文学を愛読。高校時代に『アンネの日記』を読み感銘を受ける。大学を卒業した1984年、倉敷市の川崎医大秘書室に就職。1986年、川崎製鉄のエンジニアの男性との結婚を機に退職し、小説の執筆に取り組むようになる。
1988年、「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞受賞し作家デビュー。1990年、妊娠した姉に対する妹の静かな悪意を描いた「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。以降も無垢と残酷、生と死、慈しまれるものの消滅といったテーマを繊細な筆致で描いている。2004年、記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦の母子との交流を描いた『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。映画化もされ話題となる。2005年には『薬指の標本』がフランスで映画化された。その他の作品に『ブラフマンの埋葬』(2004年泉鏡花文学賞)、『ミーナの行進』(2006年谷崎潤一郎賞)など。
2007年7月より芥川賞選考委員に参加。2009年現在太宰治賞、三島由紀夫賞選考委員も務める。兵庫県芦屋市在住。
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2009年10月16日

『猫を抱いて象と泳ぐ』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『猫を抱いて象と泳ぐ』は小川洋子の小説。

<あらすじ>
伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…大切な人にそっと囁きかけたくなる物語。

<感想>
チェスはやったことがないしルールは知らないし興味もないな、と思い敬遠していたのですが、まわりの評判がよいので思い切って読んでみたら、物語も文章も素晴らしすぎて文句なく魅了されました。そういえば前に同じ著者の「数学」を題材にした小説でも同じような経験をしたな、と想起して、自分の学習能力のなさを反省しました。本書読後も相変わらず詳しくは理解できていないチェスの対戦場面が、しかし本書の白眉だろうというのが最大の感想です。ひとつひとつの対戦が盤上に生み出す詩や音楽や彫刻や宇宙の描写が身震いするほど巧みであり、また「盤下」と盤上の間で繰り広げられる主人公と対戦相手との友情や信頼や尊敬や愛のやりとりが、ときに優しく甘く暖かく、ときに痛く切なく心に染みてきます。こうして様々な名勝負を棋譜に残していく主人公の、心象風景のなかに折り重なっていく人々や動物や乗り物や建物や言葉や死の記憶が、物語の後へ後へと進むほどその愛しさと哀しさを増していき、どんどんと読書の感動を高めていきます。そして最後の数ページに記される博物館的な視点の文章を読み終えたとき、他の作品では得がたい独自の余韻を残して本書は幕を引きます。

〜『猫を抱いて象と泳ぐ』、小川洋子〜
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2009年07月08日

『博士の愛した数式』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『博士の愛した数式』(はかせのあいしたすうしき)は、小川洋子による日本の小説。2004年、第1回本屋大賞および第55回読売文学賞を受賞。

<あらすじ>
家政婦紹介組合から『私』が派遣された先は、80分しか記憶が持たない元数学者「博士」の家だった。こよなく数学を愛し、他に全く興味を示さない博士に、「私」は少なからず困惑する。ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は、幼い子供が独りぼっちで母親の帰りを待っていることに居たたまれなくなり、次の日からは息子を連れてくるようにと言う。次の日連れてきた「私」の息子の頭を撫でながら、博士は彼を「ルート」と名付け、その日から3人の日々は温かさに満ちたものに変わってゆく。

<感想>
小川洋子の描く世界は透明感に溢れています。この透明さは、世界を律っしているモノがくっきりとあるからだと思います。つまり、フェティシズムと書きたくなるような世界を統べる視点がくっきりとしているのです。その視点が世界を構成しているし、そこから漏れるものは世界から静かに排除されていきます。真理とか真実とかいうものは、どこにもないものだと私たちは往々にして口にします。世界が様々の人間で構成されている以上、真実とか真理とかを問題にするよりも前に、相対的とか比較的とかの言葉を中心に据えて考えた方が良いことが判っているからです。しかし、世界にはいや数学の世界にはどうも言葉の意味として純粋に真理とか真実とかの世界があるようです。それはあくまで数学の世界という限定された場所での真理とか真実とかでしかないものなのでしょうが、その高度に抽象化された世界にはとてもとても美しい調和があるらしいことは知っています。その完璧な秩序、調和を持つ世界が、この生きている世界と重なってみえたら、またそれ以外の要素が巧みに排除されてしまったら、どんなに世界は幸福な場所になるでしょうか。この小説はとても美しい小説です。

〜『博士の愛した数式』、小川洋子〜
posted by 推理小説家 at 21:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小川洋子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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