2009年12月04日

あさのあつこ

あさのあつこ

あさのあつこ(本名:浅野 敦子(読みは同じ)、1954年 - )は、日本の女性児童文学作家。岡山県英田郡美作町(現在の美作市)出身で、現在も美作市に在住。
女優の浅野温子と間違われないように、平仮名のペンネームにしたという。

岡山県立林野高等学校、青山学院大学文学部卒業。岡山市にて小学校の臨時教諭を勤めたのち、作家デビュー。1997年、『バッテリー』で野間児童文芸賞受賞、幅広い世代の支持を得る。1999年、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞受賞。2005年、『バッテリー』全6巻で小学館児童出版文化賞受賞。
日本児童文学者協会会員。日本同人協会「季節風」同人。既婚で三児の母。現在「月刊少年シリウス」にて、『テレパシー少女「蘭」』が漫画化されている。
また、藤沢周平に魅せられて「弥勒の月」「夜叉桜」などの時代小説も書いている。
2007年5月6日には、「平成教育委員会」に初登場した。
さらに最近ではバッテリーやTHE MANZAIなどが映画化も決まった。

毎日新聞のインタビューに「(美作市に)住んでいて、憤りを感じるんです。繁栄に取り残されているというか、景気が上向いたなんてどこの話? って」「中央や絶対の権力に抗いたい気持ちが私にはある。それは彼の大人への抗いに通じます」などと応え、地方在住者としての中央や大都市への反発を隠さない。同じインタビュー内で「この街しか知りません」と発言している(青山学院大学出身で東京在住経験がある経歴とは矛盾している)。また、日本共産党のインタビューにも出演している。
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2009年10月24日

『福音の少年』(☆☆☆:小説おすすめ度)

『福音の少年』はあさのあつこの小説。

<あらすじ>
16歳の明帆は同級生の藍子と付き合っている。だが二人はすれ違ってばかりで、明帆は藍子の幼なじみの少年・陽に近づいていく。ある日、藍子のアパートが火事で全焼し、藍子も焼死体で発見される。不可解さを感じ、真相を探る明帆と陽だが―。「死んでほしゅうない。おまえに生きていてほしい。おれは、おまえを失いたくないんや」友情でもなく、同情でもなく、仲間意識でもない。少年たちの絆と闇に迫る、著者渾身の物語。

<感想>
なんと評価していいか悩む作品です。読む手は止まらず、次の展開に期待してページをめくり続けました。そして訪れる最後の結末。え、これが結末??最後の結末は著者が示すものではなく、読み手が想像するものとなっています。少年、少女時代に持つ、自分自身への不安や社会に対する反発。わけの分からないもう一人の自分自身との格闘。どれも年を重ねると、いつの間にか遠ざかってしまうものです。ただ、そんな少年、少女の心の闇と、殺人事件との関係があまりにも遠すぎて結びつきませんでした。少女「藍子」の存在意義が希薄で、もう少し深くえぐって欲しかったです。光と陰があまりにも強すぎる感じがしました。といってもこの作品は、そのほとんどが陰の部分を描いているのですが。この終わり方は賛否両論だと思います。投げられた結末を、その後は読み手自身がどう考えを進めるかにかかってきます。

〜『福音の少年』、あさのあつこ〜
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2009年10月09日

『ラスト・イニング』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『ラスト・イニング』はあさのあつこの小説。

<あらすじ>
新田東中と横手二中。高校生になって野球を辞めた瑞垣。巧との対決を決意し、推薦入学を辞退した門脇。野球を通じ日々あえぎながらも力強く変化してゆく少年たちの姿を描いた作品。永遠のベストセラー『バッテリー』を、シリーズ屈指の人気キャラクター・瑞垣の目を通して語った、彼らのその後の物語。

<感想>
新田東中と横手二中との運命の再試合。その開始前の束の間を描いた短篇「マウンドへと」。中学を卒業して高校へと進学した横手の五番打者、ショートの瑞垣俊二を主人公に、幼なじみのスラッガー・門脇秀吾と瑞垣のその後を、四つのエピソードとともに綴った「白球の彼方」。後者「白球の彼方」が抜群に面白かったです。天才バッターの秀吾に複雑な思いを抱き、大人が都合のいいように張るレッテルをひどく嫌う瑞垣のこだわり、心の揺れ。それが、ゆるやかに落ちるナックル・ボールのような雰囲気でもって、巧みに描かれていました。「白球の彼方」は、「バス停で」「新田市営球場」「夜明け前のキッチンで」「桜木の家」の四つの話で構成された中篇です。瑞垣が妹の香夏と対話するシーンを描いた「夜明け前のキッチンで」を起承転結の転として、終章「桜木の家」へと持っていくストーリー展開が上手かったです。香夏とある人物との、仄かなロマンスを感じるやり取り。「二度目はないですよ、瑞垣さん」と、ぴしりと放たれた台詞を、なぜか忘れることができない瑞垣の複雑な心境。そうした、いまいち吹っ切れない瑞垣のじわじわした懊悩が、うまく掬い上げられていました。ラスト、「天藍(ティエンラン)」のどこまでも深い空の青が、目に染みました。

〜『ラスト・イニング』、あさのあつこ〜
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2009年07月08日

『バッテリー』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『バッテリー』は、あさのあつこによる児童文学作品。単行本全6巻が教育画劇から、文庫本全6巻が角川文庫から刊行され、延べ1000万部を超えるベストセラー小説である。

<あらすじ>
巧の中学入学を前に、祖父のいる岡山県新田市に引っ越してきた原田一家。巧はランニング中に道に迷いかけて豪と出会い、後日バッテリーを組むことになる。ピッチャーとして絶対の自信を持ち、誰に対しても強烈な我を通そうとする巧と、その才能に戸惑いながら強く魅かれていく豪。運命に導かれたかのように、最高のバッテリーとしての2人の人生が始まっていく。
新田東中学校に入った巧たちだったが、そこに待ち受けていたのは戸村監督の徹底的な管理野球だった。自分を貫くため戸村監督と衝突する巧。巧の圧倒的才能とその実力を認める戸村監督。それをつまらなく思う展西ら先輩に巧は陰湿なイジメを受け、その事件の関係で部活動も停止になってしまう。
部活動停止になったままで引退を迎える三年生のために、戸村監督が強豪・横手と練習試合をしたいと希望する。新田東中の校長は、とても相手にならないと却下したが、どうしても試合をしたいキャプテン海音寺が、横手の天才スラッガー・門脇と知り合いなのをツテに、巧の球で門脇を圧倒すれば、試合が出来るはずだと提案する。見事、門脇を唸らせた巧だったが、豪は、その巧の球を捕球しきれない。
強豪校・横手二中との練習試合で打ちのめされ巧たち新田東中は敗れた。豪もキャッチャーとして球を捕り切れなかったと責任を感じて、部活でも巧を避け続けてしまう。一方、海音寺は横手二中の五番打者で門脇と幼馴染みの瑞垣俊二と没収試合となってしまった練習試合をもう一度やり直す計画をたてる。 そして監督の戸村は、巧のキャッチャーを吉貞にさせると言い出す。

<感想>
『バッテリー』の特徴は、会話でストーリーがすすむということ。ページを開けてみるとわかるのですが、そのほとんどが「」でくくられています。そして会話以外の部分も、登場人物の心情を表現したものが多いです。きれいな情景描写などもありますが、多くは心理描写。そこがこの物語に惹き込まれるひとつの理由です。いわゆる「スポ根小説」ではないです。著者が描くのは、野球そのものというよりも、そこに関わる人びとの結びつきや繋がりです。中心となるのはバッテリー2人の交流ですが、その友人、家族の関係にもスポットが当てられます。人物描写は、丁寧かつ秀逸です。友情や努力といったわかりやすい部分だけでなく、中学生という年代に特有な優しさの中に残酷さを秘めた複雑な心情、言いたいことを言葉にできないもどかしさを、深い部分まで掘り下げて描いています。バッテリーという一対一の濃密な関係を軸に、人と真摯に向き合うことの意味を問いかけてきます。佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』とともに、スポーツ青春小説の傑作と呼ぶにふさわしい小説だと思います。

〜『バッテリー』、あさのあつこ〜
posted by 推理小説家 at 21:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | あさのあつこ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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