2010年01月19日

山田詠美

山田詠美

山田詠美(やまだえいみ、女性、1959年2月8日 - )は東京都板橋区中丸町生まれの小説家、元漫画家。本名山田双葉(やまだふたば)。栃木県立鹿沼高等学校卒業、明治大学文学部日本文学科中退。

デビュー作を始め、初期には日本人と黒人との男女関係を描く作品が多くあるが、山田詠美自身が『文藝』などのインタビューで答えている通り、中学時代にソウルミュージックに触れ、多くの黒人作家の小説や黒人が登場する小説を読んでいたことによる。
多人種が集まる街である六本木で仕事をし、黒人との交流も多かったため、デビュー作の『ベッドタイムアイズ』では、山田詠美が影響を受けた日本文学の文体を継承しつつ、黒人という“異人種”と結ぶ「女」を衝撃的に描き、江藤淳らに絶賛された。『PAY DAY!!!』では、9.11について生活者の側から描き、2005年『文藝』夏号のインタビューでも、肉体労働者を描いた短編集『風味絶佳』との関連で、「スモーキング可能な大衆食堂」について書面で答えており、生活から文学を語る論者としても注目されている。
2冊目の作品集『ジェシーの背骨』では、恋人の連れ子と暮らすことになった女を描き、その筆致が、William Saroyan の『パパ・ユー・アー・クレイジー』を思わせる。子供との生活における特異な世界観を描き出し、芥川賞候補となった。
『風葬の教室』、『放課後の音符』、『晩年の子供』、『ぼくは勉強ができない』などでは、子供・いじめ・高校生小説の系譜を書き継いでいる。綿矢りさ・金原ひとみが芥川賞を受賞した際、文藝春秋のインタビューで、影響を受けた作品としてともに『放課後の音符』を挙げており、山田詠美の作品は現代の日本語作家にも大きな影響を与えていると言える。
福田和也は『4U』や『MAGNET』『風味絶佳』などを短編小説の名手として評価している(『作家の値打ち』)。若手の日本文学研究者からは、川端康成の少年少女小説の影響の指摘もなされる。
『A2Z』は郵便局員との恋を描き、軽快さと一文字一文字までこだわる慎重さが同居する文体が高く評価された(読売文学賞受賞)。
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2009年10月08日

『学問』(☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『学問』は山田詠美の小説。

<あらすじ>
京から引っ越してきた仁美、リーダー格で人気者の心太、食いしん坊な無量、眠るのが生き甲斐の千穂。4人は、友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。一歩一歩、大人の世界に近づいていく彼らの毎日を彩る、生と性の輝き。そしてやがて訪れる、それぞれの人生の終り。高度成長期の海辺の街を舞台に、4人が過ごしたかけがえのない時間を、この上なく官能的な言葉で紡ぎ出す、渾身の傑作長篇。

<感想>
外国の評にAn instant classic(発売と同時に古典)と書いてあるのをときどき見ます。この小説がそれです。新刊だけれど、すでに古典の風格があります。たぶん現代最高レベルの日本語で書かれていて、言葉が実に精確なので、読んでいてかゆいところに手が届くというのか、何とも気持ちいいです。青春小説であり恋愛小説ですが、だらだらしていたり、言葉に酔っているような表現は一切ありません。読みやすく、自分にもこういうの書けるんじゃないかと思わせる小説は多いです。また読みにくくて、自分にはこんなふうには書けないと思わせる小説も多いです。しかし、読みやすいと同時に自分はとてもこんなふうには書けないと舌を巻く小説はそうそうないです。これはそういう小説です。一人の少女の性の目覚めが大きな軸になっていて、踏み込んだ描写もありますが、暗さはなく、全体的にすこやかです。タイトルにはさまざまな意味がこめられていると思いますが、「性」について身体で正しく学んでいくことも大切な学問なのだ、とこの小説は言っているように思います。そして読んだあと、一度しかない人生をそれがどんなものであろうと肯定する作者の姿勢に、胸が熱くなります。

〜『学問』、山田詠美〜
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2009年10月07日

『風味絶佳』(☆☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『風味絶佳』は山田詠美の小説。

<あらすじ>
70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。

<感想>
この短編集の密度、完成度の高さは凄いです。「珠玉」という言葉は宣伝の常套句ですが、この短編集にこそふさわしい気がします。恋愛の究極的なかたちを様ざまに描いています。その筆致は「いま」とズレてないし、一方で古典のような風格、盤石さがあります。山田詠美は、「日本」というかっこを外しても、いま現代文学の最前線にいるのではないでしょうか。この短編小説共通するのは、男の主人公がみな、ネガティヴには「3K」と呼称される職業に従事していることです。「あとがき」には「日頃から、肉体の技術を生業にする人々に敬意を払って来た。いつか私自身にも技術と呼べるものが身に付いたら、その人たちを描いてみたいと思っていた」とあります。山田詠美が書く人物たちは3Kとか肉体労働者のステレオタイプなイメージを突き崩します。逆に、肉体という実存を持っていることが、恋愛を描く際に絵空事でない輪郭を与えています。「一緒に飯食って、セックスして、寝る」そのことが人間にとってどれだけ難しいことか。どれだけの人が、その幸せを分かち合える相手と遭遇できるというのでしょう。しかし、どの短編も、どの人物も、唸ってしまうくらい面白いです。

〜『風味絶佳』、山田詠美〜
posted by 推理小説家 at 20:38 | Comment(0) | TrackBack(1) | 山田詠美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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