2010年01月23日

フョードル・ドストエフスキー

フョードル・ドストエフスキー

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(ロシア語: Фёдор Михайлович Достоевский,1821年11月11日〔ユリウス暦10月30日〕 - 1881年2月9日〔ユリウス暦1月28日〕)は、ロシアの小説家・思想家である。代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など。レフ・トルストイと並び、19世紀後半のロシア文学を代表する文豪である。
その著作は、当時広まっていた理性万能主義(社会主義)思想に影響を受けた知識階級(インテリ)の暴力的な革命を否定し、キリスト教、ことに正教に基づく魂の救済を訴えているとされる。実存主義の先駆者と評されることもある。なお、姓は訳者によってドストエフスキイ、ドストエーフスキイ、ドストイェーフスキイなどと表記されることもある。

モスクワの貧民救済病院の医師の次男として生まれ、15歳までモスクワの生家で暮らした。工兵学校生・作家時代を送ったペテルブルクは物語の舞台として数々の作品に登場する。
1846年、処女作『貧しき人々』を批評家ベリンスキーに「第二のゴーゴリ」と激賞され、華々しく作家デビューを果たす。デビュー前のドストエフスキーから直接作品を渡されて読んだ詩人ニコライ・ネクラーソフが、感動のあまり夜中にドストエフスキー宅を訪れたという逸話は有名である。
デビューこそ華々しかったものの、続けて発表した『白夜』『二重人格』は酷評をもって迎えられる。その後、ミハイル・ペトラシェフスキーが主宰する空想的社会主義サークルのサークル員となったため、1849年に官憲に逮捕される。死刑判決を受けるも、銃殺刑執行直前に皇帝からの特赦が与えられて(この一連の特赦はすべて仕組まれたものであった)、シベリア流刑へと減刑になり、オムスクで1854年まで服役する。この時の体験に基づいて後に『死の家の記録』を著す。他にも『白痴』などで、死刑直前の囚人の気持ちが語られるなど、この事件は以後の作風に多大な影響を与えた。刑期終了後、兵士として軍隊で勤務した後、1858年にペテルブルクに帰還する。この間に理想主義者的な社会主義者からキリスト教的人道主義者へと思想的変化があった。その後『罪と罰』を発表し、評価が高まる。
自身の賭博好きな性質、シベリア流刑時代に悪化した持病のてんかん(側頭葉てんかんの一種と思われる。恍惚感をともなう珍しいタイプのてんかん)などが創作に強い影響を与えており、これらは重要な要素としてしばしば作品中に登場する。賭博好きな性質は、ドストエフスキーの生涯を貧乏生活にした。借金返済のため、出版社との無理な契約をして、締め切りに追われる日々を送っていた。あまりのスケジュール過密さのため、『罪と罰』、『賭博者』などは口述筆記という形をとった。速記係のアンナ・スニートキナは後にドストエフスキーの2番目の妻となる。
また、小説以外の著作として『作家の日記』がある。これはいわゆる日記ではなく、雑誌『市民』でドストエフスキーが担当した文芸欄(のちに個人雑誌として独立)であり、文芸時評(トルストイ『アンナ・カレーニナ』を絶賛)、政治・社会評論、エッセイ、短編小説、講演原稿(プーシキン論)、宗教論(熱狂的なロシアメシアニズムを唱えた)を含み、後年ドストエフスキー研究の貴重な文献として参照されることとなった。
晩年に集大成ともいえる長編『カラマーゾフの兄弟』を脱稿。その数ヵ月後の1881年1月28日に家族に看取られながら60歳で亡くなる。
ドストエフスキーの末裔ドミトリーは現在もサンクトペテルブルクで活動中。関東(早稲田大学、東京芸術劇場)、関西(天理大学)で2004年に来日記念講演を行った。
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2009年08月10日

『カラマーゾフの兄弟』(☆☆☆☆☆:小説おすすめ度)

『カラマーゾフの兄弟』(Братья Карамазовы) は、フョードル・ドストエフスキーの最後の長編小説。1879年に文芸雑誌『ロシア報知』 (Русский вестник) に連載が開始され、翌1880年に単行本として出版された。『罪と罰』と並ぶドストエフスキーの最高傑作とされ、『白痴』、『悪霊』、『未成年』と併せ後期五大作品と呼ばれる。

<あらすじ>
地主フョードル・カラマーゾフの息子たち、性格がお互いにまったく異なる3人の兄弟ドミートリー、イヴァン、アレクセイ(アリョーシャ)と、フョードルの使用人で、その息子であるとは認められていないスメルジャコフの物語である。フョードルの殺害、また、その事件をめぐる裁判を描く。
直情的な性格の長男ドミートリイは、借金に悩み、遺産の相続や、グルーシェンカという女をめぐって父親と激しくいがみ合う。グルーシェンカのことが原因で、気位の高いカチェリーナとの婚約も破棄される。皮肉屋で知的な次男のイヴァンは、カチェリーナのことを愛しており、カチェリーナを冷たくあしらう腹違いの兄ドミートリイに憤る。皆に愛される性格の敬虔な三男アレクセイは敬愛する老僧ゾシマに導かれ、修道院での生活を始める。
フョードルが死体で発見されたとき、真っ先に嫌疑がかけられたのはドミートリイであった。人々はドミートリィの父親殺しを信じて疑わない。だが、ドミートリィは一貫して無罪を主張する。判決の前日にはスメルジャコフが自殺、直後にイヴァンが危篤と、周辺では不穏な事態が絶えない。そんな中、ついに運命の判決が下る。

<感想>
ドストエフスキーの最高傑作にして、集大成的作品。カラマーゾフの3兄弟に人間の全てがあるとまで言われます。人はなぜ生きるのか、神はあるのか、人間にとって重要な主題に真っ向から向き合う人々の魂の軌跡が描かれており、その深さは読む人の心を打つ。世界文学屈指の傑作ということでためらう方もいるでしょうが、ミステリー小説的な楽しみもあるので素直に楽しめるはずです。冒頭の聖書からの引用句からもわかるように、著者のキリスト教思想が色濃く反映されいます。全編を通じて不完全であるが愛すべき人間たちを温かく見守る神の存在を感じさせます。なんといっても食い入るように読んだのはプロとコントラの章、そしてその中でも特に大審問官です。作者に目の前で説き伏せられているような迫力を感じました。そういった神の問題を別にしても、長兄ドミートリィの話などは面白いですし、ギャグなどではなく、人間の誰もが持っているリアリティに笑かしてもらえます。先ほども言ったミステリーとしての面白さ、息を呑む審判のシーンなど、小説のあらゆる面白さが詰め込まれています。そして最後には感動が。長編小説なのにあっという間に読了してしまう面白さ。後悔はないはずです。

〜『カラマーゾフの兄弟』、フョードル・ドストエフスキー〜
posted by 推理小説家 at 21:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | フョードル・ドストエフスキー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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