2010年12月15日

『KAGEROU』(小説おすすめ度:☆☆☆☆)

第5回ポプラ社小説大賞受賞作。齋藤智裕(水嶋ヒロ)の処女作。

<あらすじ>
『KAGEROU』――儚く不確かなもの。廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。命の十字路で二人は、ある契約を交わす。肉体と魂を分かつものとは何か? 人を人たらしめているものは何か?深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。哀切かつ峻烈な「命」の物語。

<感想>
8章仕立て240ページの小説は、齋藤智裕(水嶋ヒロ)がテーマは「命」と公言している通り、「かげろう」のようにはかないと感じたヤスオの人生にも残っていた“確かなもの”を気づかせてくれます。それは「愛」。「KAGEROU」は、このように真っ当なテーマを真っ正面から分かりやすく表現しているにもかかわらず、会話を中心にした構成が巧みなため、読み手はストーリーに引き込まれていきます。どんでん返しにも似たラストのエピソードも伏線がきちんと張られているため腑に落ち、読後感はさわやかです。また、俳優をしていただけあって、全体に映像が浮かびやすい文章でつづっています。もしドラマや映画にするなら…とキャストを考えながら読み進めるのも一興かもしれません。

〜『KAGEROU』、齋藤智裕(水嶋ヒロ)〜
posted by 推理小説家 at 09:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 齋藤智裕(水嶋ヒロ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
相互リンク募集中です。こちらのトップページhttp://mainichigashiawase.seesaa.net/へリンクを張った後にコメント(リンクが張られていることが確認できるURLを記載して下さい)を頂ければ、直ちに相互リンクさせて頂きます。